『エンジェルエッグ』 卵から始まるはな詩?/ただのみきや
チーズを差し出して
餌付けを試みたがうまくいかなかった
鳥の餌にも見向きもしない
だがエッグはいっこうに弱る気配もなく
毎日現れて元気に部屋を泳いでいる
ある日エッグがふたつになった
目の錯覚ではない
分裂したかのように瓜二つのエッグが
それぞれ勝手に飛び回っている
エッグ同士がたまたま近づくと
音叉のように澄んだ音が響いた
それは倍音を含みなんとも心地よく
わたしは毎日酔いしれた
エッグは一日毎に倍々に増えた
一個も姿を現さないと思いきや
突如群れで現れたりもする
そうして大合唱
エッグ同士が近づき共鳴し合い
澄んだ音色が倍音となり和音となり
まさに天使
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