『聖母ジェンマ』 卵から始まるはな詩?/ただのみきや
てて大きく太らせて
脂がたっぷりのったところガブリっとやろう
きっと三日か四日は満腹でいられるぞ?
ジェンマは狐らしいニンマリした顏で
「かわいい子 さあママについておいで」
雛を誘い ゆっくりと歩きだした
「ジェンマがおかしくなったって? 」
「あいつ腹が減り過ぎて狂っちまったんだ」
狐たちは皆面白がって笑った
ジェンマと雛の奇妙な親子連れを見たからだ
「ママから離れちゃだめよ」
「はーい ママ」
「そこの石 躓かないようにね」
「はーい ママ」
雄のジェンマの甲斐甲斐しい母親ぶりに
皆は腹を抱えて笑い転げた
だがやがて一匹の若い狐が近づいて
[次のページ]
前 次 グループ"卵から始まるはな詩"
編 削 Point(22)