『聖母ジェンマ』  卵から始まるはな詩?/ただのみきや
 
てて大きく太らせて
 脂がたっぷりのったところガブリっとやろう
 きっと三日か四日は満腹でいられるぞ?

ジェンマは狐らしいニンマリした顏で
「かわいい子 さあママについておいで」
雛を誘い ゆっくりと歩きだした

「ジェンマがおかしくなったって? 」
「あいつ腹が減り過ぎて狂っちまったんだ」
狐たちは皆面白がって笑った
ジェンマと雛の奇妙な親子連れを見たからだ

「ママから離れちゃだめよ」
「はーい ママ」
「そこの石 躓かないようにね」
「はーい ママ」

雄のジェンマの甲斐甲斐しい母親ぶりに
皆は腹を抱えて笑い転げた
だがやがて一匹の若い狐が近づいて
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