『年中行事』 卵から始まるはな詩?/ただのみきや
た男女が集まっていた
彼らは白髪の男に何やら書類を見せている
白髪の男は振り向いてわたしに
鶏は大変な難産で手術が必要だと言い
「ぜひ一緒にやって下さい」
わたしは承諾し
彼の指示に従って
様々な器具を受け取ったり手渡したり
言われる通り作業を行った
一時間か 一晩かとも思える時間が過ぎて
鶏の出産は無事に終わった
奥の方で誰かが泣いている
スリッパはいつも冷たく響いて好きになれなかった
服はひどく湿り結露しているようで
どこからか酸っぱいのだ
わたしは男に礼を言うと
すぐに卵を持ち帰ろうとした
男はわたしを家まで送ると言い
わたしたちは来たときと同じバ
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