『年中行事』 卵から始まるはな詩?/ただのみきや
じバスに乗った
わたしは疲れて眠ってしまい
夢を見ていた
息子が一人で食卓に着いている
なんて華奢なのだろう
あれは誕生日の
やがて ゆっくりと つっぷして
青白い炎が灯り 蝋燭のように
溶けて すべてが青く燃え広がり
救急車のサイレンが
が が が ががががが
往クナ 往ク ナ
オ ム らい す を
忘レ ナイ カラ モウ
もう一度
モウイチド……
目が覚めた 誰かに揺さぶられて
バスから降りると
玄関の前に一人の女がいて迎えてくれた
ふくよかな微笑みで
わたしは笑顔が作れないから
どぎまぎして顔を伏せるしかなかった
誰かがわたしの手を引き
風呂場へつれて行くと言う
?こんなに汚れちゃって?
?はいはい卵なのね ちゃんと預かりますよ?
もう一度……
さっきまで あれは 確か
?命日ですものね?
もう一度……
なんだっけ
《年中行事:2015年5月17日》
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