『年中行事』 卵から始まるはな詩?/ただのみきや
と眠くなって来た
ぼんやり流れる街並み
街は人間そのものだ
どんな建物も 年老い 古びて行く
やがて建物がひとつ またひとつと無くなり
代わりに真新しい建物が いつの間にかそこに在る
古いものと新しいものが混在しながら
やがてみんな新しいものに変わって往く
どこか懐かしく
どこか余所余所しい風景
救急車がうるさい
最近特に多いようだ
あれには胸が苦しくなる
嫌な音だ
男の家は大邸宅だった
玄関で女が二人
男と同じふくよかな笑顔でわたしを迎えてくれた
わたしは笑顔が作れないから
どぎまぎして顏を伏せるしかなかった
鶏小屋は家の中にある
数人の白衣を着た男
[次のページ]
前 次 グループ"卵から始まるはな詩"
編 削 Point(15)