喝采/平瀬たかのり
 

 広々とした原っぱの中
 空から落ちてくる神旗に向かって突進するおまえ
 そんなおまえを見てみたかったと心から思う
 おまえの姿も競走も見たことがないのに

 法螺貝や陣太鼓の音を初めて聞いた時は
 やはり驚いたのか
 いや大レースのファンファーレを
 幾度も耳にしたおまえだ
 きっと堂々としていたことだろう
 神旗を獲った者だけが
 神殿に続く「羊腸の坂」を登れるのだという
 おまえは駆けあがっていけたのか
 「やっぱり中央で走っていた馬だ」
 「菊花賞で四着だ、モノがちがうよ」
 そんな声が聞こえたとしたなら
 うれしいことだ

 もしいつかこの祭りに
 行くことがかなったなら
 お気に入りの黒鹿毛を見つけよう
 そしてその馬に
 勝手におまえの名前をつけてやろう
 「おーい、がんばれよ、サーペンプリンス!」
 そう叫んで喝采を送り続けよう

 きっといつか会おう

  (サーペンプリンス)
   グループ"草駿譜"
   Point(7)