喝采/平瀬たかのり
広々とした原っぱの中
空から落ちてくる神旗に向かって突進するおまえ
そんなおまえを見てみたかったと心から思う
おまえの姿も競走も見たことがないのに
法螺貝や陣太鼓の音を初めて聞いた時は
やはり驚いたのか
いや大レースのファンファーレを
幾度も耳にしたおまえだ
きっと堂々としていたことだろう
神旗を獲った者だけが
神殿に続く「羊腸の坂」を登れるのだという
おまえは駆けあがっていけたのか
「やっぱり中央で走っていた馬だ」
「菊花賞で四着だ、モノがちがうよ」
そんな声が聞こえたとしたなら
うれしいことだ
もしいつかこの祭りに
行くことがかなったなら
お気に入りの黒鹿毛を見つけよう
そしてその馬に
勝手におまえの名前をつけてやろう
「おーい、がんばれよ、サーペンプリンス!」
そう叫んで喝采を送り続けよう
きっといつか会おう
(サーペンプリンス)
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