1/ayame
えない。ぼんやりといつもみる夢が浮かんできた。
薄暗い雨降りのなか良々は屋上にいた。分厚い雲が空を覆っている。夕方にしては暗いと良々はフェンスに指をかける。霧がだんだんと濃くなってきていた。良々はそのフェンスから見下ろしている。その目線の先には真っ白い少女が目を見開いて、良々をじっとみかえしているように感じる。髪も白く、白いワンピースを着ていて、ところどころ黒く染まっている。コンクリートの床に大の字になり、白い髪のあいだから、黒い液体が広がる。良々は叫ぶことも出来ず、酸っぱいものがこみ上げてきた。あれは、もしかして。少女をみないようにフェンスを背にしずるずると座り込む。固く目を閉じて、いきを深く
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