ロックシティ・オブ・ザ・デッド/ゴースト(無月野青馬)
 

必死で昇華しようとしているように見えた
ベンチに一人うずくまって
曲を聴いて
必死に
痛みを和らげようとしていた


「私」は
自分が
名も無き
有象無象の一人でしかないと認識することは
やはり苦しいことなのかと
(「私」には苦痛ではなくなっていたことなので)
少し驚きながら
この時点では苦しんでいた「青年」の
世界との格闘を見守っていた


「私」は
「青年」を見ながら思っていた
そんなことに悩むよりも
人形使いに
良いように
操られてしまうことこそが
苦しみではないのかと
「私」は
「彼」に
そのことを教えたくてウズウズしていた


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