川柳が好きだから俳句を読んでいる(4、飯島晴子のこと)/黒川排除 (oldsoup)
 
る、何もない状態の場所へひっそりと置かれるマイナスと呼ぶべきか、まさにそれは第一句集の最初に置かれた「泉の底」の「一本の匙」だろう。

 旅客機閉す秋風のアラブ服が最後
 狂人に青柿いくつ落つれば済む

 同じく第一句集のもっとも初期の頃に置かれた句である。アラブ服の句は作者も「初期のこわいもの知らずのエネルギー」と自嘲気味に語りつつしかし気に入ってると振り返っているが、そのエネルギーがどうやら使い切りのものであったらしいことが、句集を見てもわかる。第一句集から第三句集まではエネルギーに満ち溢れた狂いっぷりを見せており、第四句集と第五句集では少しの狂気をほのめかせつつも日常的なサインにこ
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