青いカラス/kawa
 
中で私は白い風の中に立っていた
 見渡すかぎり真っ白で、春のようにあたたかだった
 風に背をむける
 その行きつく先をながめながら、とてもかなしかった
 なぜかなしいんだろう、と考えてもわからない
 ただ涙がぽろぽろこぼれる
 やがてこれはかなしいんじゃないと思う
 べつに呼びかたのある気持ちだと思う
 でもわからない
 私は子どもだったころを思い出した
 するとますます涙はこぼれた

 溢れ堕ちる涙とともに私は目覚めた。窓の外は、一面の青だった。音がしない。数秒して気づいた。電車は空を飛んでいるのだ。
 理解した途端に、壁も椅子も床も天井も、にるにると波打ちはじめた。
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