青いカラス/kawa
。
違う、これはカラスの群れだ
瞬間、電車であったカラスたちは、弾けるように飛び去った。青、赤、黄色、黄金色、ピンク、紫、緋色、朱色、水色、黒、白、灰色、銀色、あらゆる色のカラスが飛ぶ。私がしがみついているのは、紺色だった。
空を飛ぶ恐ろしさに涙を流しながら、私は、
『ああ、こんなことは、あんなにも分かりきってるはずのことだったのに』
と悔やみ、笑う。必死に握りしめている手のひらの中には、いびつで小さな銀色の塊が、鈍く輝いていた。
そうして私は、天地左右、あらゆる方向に直進するカラスたちをぐるりと眺め渡してから、つよく吹きつける風の向こうに目をこらした。
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