新月/るるりら
 
新月が穴のように開いている
月が巡ってくることをいのる
いにしえの民のこころもちで
月の定めた晦日の夜に凍えて
聖なる薪としてくべた雑記帳

お気に入りの日記帳が炎と化すあの感じ
大切な人が私と結びつけていた写真を無造作に捨てたと知った あの感じ
筆圧の強い字ではちゃめちゃに書いた文字が涙の飛沫で溶ける あの感じ

ふくみのふくらみを 口にすると朽ちてゆく
みもだえたすえに 決心する
すきなことをすきなだけしているつもりで
すきなことがなにかをわすれ 穴のように開いている

新月 満天の空に ぽっかりあいた穴のよう
或るはずの天体は 時間と
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   グループ"るるりらの 即興ゴルゴンダ"
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