胎/
草野春心
果物ナイフできみの
胎のあたりをちょっと切ったら
どろどろとした詩がこぼれてきた
その飴色の液体は
ぼくの手のうえを這い
フローリングに落ちて広がった
気づいてさえいなかったのか
きみの顔には
梅干のような笑みが張り付いたままで
ぼくはそのまま柄に力を加え
きみを殺してしまおうかと思った
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グループ"短詩集"
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