月の嗤うさき1〜2/……とある蛙
 

どこから眺めているのかも分からない。

森の中で両腕を着いて屈んでいる恥かきっ子は
突然空腹を覚え歩き出した。

静々と歩み始めた恥掻きっ子は、
獣道を中腰で歩き続けて、
水のある川岸まで
キョロキョロしながらたどり着いた。

川岸の潅木は少し腐りかけていたが、
得意の木登りで川岸に張り出した枝にぶら下がり、
裂いた蔓の皮の先に死にかけの虫を括りつけ、
淀んで腐った臭いのする水面に垂れ下げて
狙う 
粘り気のある波紋は
奇妙な黄色い発酵ガスを撒き散らしながら
枝の上にぶら下がった恥掻きっ子を直撃した。

臭いに目眩を感じながら恥掻きっ子は、
魚影は褐色
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