秘密荘厳大学文学部/済谷川蛍
 
立てて言うべきところは見当らなかった。父は問題ではなかった。だとすれば、実際、この古い小さい町へいつか天上から神秘な火花が飛び下ってきたのだ。

 「森野くん」
 「はい」
 「ここの「だとすれば、実際、この古い小さい町へいつか天上から神秘な火花が飛び下ってきたのだ。」という言い回しにシビれないかね」
 「え…」
 彼は私の瞳が微かに失望の色に変化するのを見たのだろう。
 「何となくいいと思います!」と言った。
 私はなぜか笑っていた。
 彼は「やっぱり無理なんすかねぇ」と申し訳なさそうに呟いた。
 面白いか面白くないか、ただそれだけである。私よりも森野くんのほうがずっと優秀だ
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