秘密荘厳大学文学部/済谷川蛍
いきなりヘッセはレベル高すぎですか!?」
私は思わず吹き出した。何だか彼の思い描いている文学のイメージが無邪気で可愛らしかった。カフェラッテのストローを吸った。イチゴ大福の包みを開けて食べようとすると粉がこぼれて机に散った。
「ボロボロこぼれるね」
彼はちょっと困ったような、はにかんだような笑顔を見せた。まるで高校生か、中学生みたいに見える。
「実はね、僕が読んだ『車輪の下』はその翻訳じゃないんだよ」
「えっ、そうなんですか。なんか通ですね」
「僕のは『車輪の下に』って題名のやつで…。多分アパートにあるから持ってくるよ」
二
次の日、食堂で彼を見つけた。私
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