秘密荘厳大学文学部/済谷川蛍
は共感出来る部分が少ないのだ。『車輪の下』だって多くの理解した気になっている読者は詰め込み教育の部分だけであろう。ヘッセの文章の、『車輪の下』の真髄はそこではない。
それにしても女の子と話したのは何十年ぶりなので喉が渇いてきた。それに物凄く照れて暑い。私はゴアテックスジャケットを脱いでジャージ姿になった。
「栂尾さんは誰かに似てますね」
例のセオリー通りの質問が少し唐突だったようで彼女はえ?って顔をした。
「え? 誰に似てますか」
「うーん…堀北真希に似てる」
彼女は(最近髪を伸ばしてパーマをかけた)堀北真希に似ていた。
「うれしー! ありがとうございます」
「秋
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