批評祭参加作品■砕かれていること/石川和広
 
表面からは見えないけれど、フランス風のエッセイ思考を好んだニーチェは、だから、その瞬間の着想を短く書き留めるという方法を取ったのではないかと思う。小林秀雄の言うようにニーチェは健康の問題を抱えていたからそうだともいえるけれど。僕は小林とは違う感じを持っている。

 彼らが何に砕かれていたかというと、昔風に言うと神の啓示といえるかもしれないが、「神は死んだ」や「無神学大全」の人たちはそう表現できない。

 ニーチェは「人は三分とひとつのことを考えることができない」といったが、時間と思考はそういう関係にあるのだろう。集中力があろうがなかろうが同一性が砕かれ、時間の中に断絶が出来る。こちらの方が
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   グループ"第3回批評祭参加作品"
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