批評祭参加作品■難解さへの接近/岡部淳太郎
 
すさや難解さの皮を剥いでみれば同じ荒涼が広がっているのだ。
 私は表面的な意匠としてのわかりやすさが詩を救いうるとは思っていない。そんなものはたわごとであると言ってもいいくらいだ。詩の朗読を私もやることがあるが、それはあくまでも趣味としてであり、詩を朗読することが詩の読者の裾野を広げるなどとは信じていない。それは一種の迷妄であり、詩の本質や社会的立場を考慮に入れることのないおめでたい考えであると思っている。詩とは書くことによって常に差異が意識されるものである。一般の人々との差異。社会や時代との差異。これまで書かれてきた多くの詩作品との差異。日常言語との差異。大文字の「詩」との差異。そうしたもろも
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   グループ"第3回批評祭参加作品"
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