批評祭参加作品■難解さへの接近/岡部淳太郎
でいる。また一般の人々の方にしてみれば、別に現代詩でなくても詩を享受する方法はいくらでもあるから、あえて小難しいイメージのある現代詩になど近づこうとはしない。他に取替え可能なものがごろごろ転がっているのだから、手軽に入手出来る「その他大勢」を選ぼうとするのはごく自然な成り行きであると言える。ひとつのジャンルが果てしなく細分化し複雑化するのは現代社会の常であるが、日本における「詩」という概念はとりわけそれが著しい。現代詩はそれらの同じく「詩」と名づけられた隣人たちと肩を並べて、いささか居心地の悪い思いをしているように見えてしまう。
詩のこうした曖昧模糊とした感じが人を詩から遠ざけると同時に、詩の
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