批評祭参加作品■難解さへの接近/岡部淳太郎
ひと口に詩といっても、その適用範囲を思いつく限り大きく取ってみれば、詩という名の下に様々な形態のものが表われてくる。一般人にとってもっとも親しみのある歌謡の詞、わらべうた、短歌や俳句などの伝統的な短詩定型、あるいは漢詩、あるいは宗教的な祈祷や呪文の言葉も詩であるかもしれないし、「おまえは詩人だな」と言う場合や日常生活における抒情的な場面での「詩」もあれば、近代詩や現代詩もある。このように詩という言葉が示す範囲は非常に広く、それは詩の守備範囲の広さを示すと同時に、他方では詩の立場の危うさ、詩の不安定さを示してもいる。それらひとくくりに「詩」と呼んでしまえそうな様々な小ジャンルの中で詩は揺らいでい
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