批評祭参加作品■喪服の者たちが向かうところ/岡部淳太郎
、喪服からすぐさま葬儀、人の死というものを連想してしまうので、死が持つ非日常性や葬儀が持つ一種の儀式性も、私たちをぎょっとさせる理由になっている。ともかく日常に慣れきった人間からすると、黒という色の放つ非日常的なこの世のものならぬ感覚は脅迫的ですらあり、そのために人を驚かせとまどわせる効果を持っている。
それは詩においても同じことで、過去の他者の死を扱っていようと未来の自分の死を扱っていようと、それらの詩の表情はいちように重く黒い。よくネット上などで自傷などの内容が語られた技術的に稚拙な詩を見ることがあるが、その時に感じる読者のとまどいは、街中で喪服の集団に遭遇した時の感情とそう大差はないと思
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