批評祭参加作品■吉野弘氏への手紙/服部 剛
行ったろう。
やさしい心の持主は
いつでもどこでも
われにもあわず受難者となる。
何故って
やさしい心の持主は
他人のつらさを自分のつらさのように
感じるから。
やさしい心に責められながら
娘はどこまでゆけるだろう。
下唇を噛んで
つらい気持で
美しい夕焼けも見ないで。
誰もが身を置く電車の中で(いつものことだが若者と
娘が腰をおろしとしよりが立っていた。)という詩が始
まって4〜6行目ですでに、人間の自己中心性と、この
世の縮図が垣間見えます。この詩の中で一番姿が浮かび
上がる(うつむいた娘)が二度としよりに席をゆずった
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