静かに、なるべく静かに(アスパラガスさん讃1)/渡邉建志
したというの
このでかい窓の向こうで
向こうで
青春しているの
ふたりは、やはり、心中したという「気持ち」で、
実際心中することはなく、ただ、その時間に止まっている。
映画が、一瞬を垂直に永遠に拡げてしまうように。
このでかい窓の向こう、という、「でかい」は信じられないぐらい美しい。
本当に、この言葉を、「わたし」は言ったのだと思う。
会話そのものだったのだと思う。
心中したふたりは、そこで時をとめて、黄昏のなかで青春を続ける一方、
「渇いた」レストランのなかで(あるいは渇いていない別のレストランで)
「水分を捨てて」いるふたりの時
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