眉のあたりにすずしさの残る少女みたいに/須賀敦子とその「詩集」について/渡邉建志
ないのかもしれないけれど、もし須賀のこの「詩集」が稚拙だ、習作の域を出ないと言う人がいたとして、それがどうしたと言うのか。私は、須賀が感じていたものをはだかの目で見ることができるうれしさでいっぱいなのである。思うに、須賀についての人の反応は三つに分かれ、?まったくその人生に恋をしてしまったように全部を読んでしまう人と、?どれか一、二冊だけ手にしてなぜあんなに読者を集めているのか理解できないな、と思って積読したりやめてしまう人と、?そもそも須賀を知らない人、のどれかになるのではないかと思う。(そんなことを言ったら、どんな作家でもこう分けられるではないか。そりゃそうだ。だけど、)特に須賀について、?の
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