眉のあたりにすずしさの残る少女みたいに/須賀敦子とその「詩集」について/渡邉建志
 
思う私(たち)は、抗しきれずに読む。あなたが、敬愛するユルスナールの遺した自宅の、一般には非公開の二階に、こっそり案内されてしまったときのように。「(ユルスナールの自宅のシルヴァンという管理人に例外的に案内してもらって)こんなところまで入ってきているのをとがめられそうな気がして、落ち着かなかった。そして、シルヴァンたちのおかげで、この家が、まるで生き続けているようなふりをさせられているのも、私たちが、おっかなびっくりで、マルグリットのいない、でも八年まえまでは彼女の家だった場所を、<土足で>どしどし歩きまわっているのも、私にはどこか納得がいかなかった」(『ユルスナールの靴』)。本人の許しを得ずに(
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