眉のあたりにすずしさの残る少女みたいに/須賀敦子とその「詩集」について/渡邉建志
くなって、ひさしい。賢しらなことばが平面を滑りつづけるふうな詩は読みたくないし、現在の世界の痛みを人類の痛みとして生きる鼓動が伝わってこない詩もわたしは必要としない」(『本に読まれて』)「この東方の島々のうえで私たちがさまざまな罪によって摩滅させてしまった言葉たち」(同上)。私たちが日本語に犯した罪、それによって摩滅させてしまったさまざまな罪はなんだっただろうか。
あなたはウンベルト・サバの詩を好んだ。「晦渋ということがひとつの特質のようになっている現代詩のなかで」、ウンベルト・サバの詩は「虚構性と形式への傾倒が強いペトラルカの系統」に属し、「一見単純」でありながら、「研ぎ澄まされた正調の抒情詩
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