■批評祭参加作品■日本の詩における韻律の歴史/岡部淳太郎
 
がほしいばかりに」「たったひとリの飢えた子供の涙がいるばかりに」「一匹の野良犬の恐怖がほしいばかりに」(各連の3行目・4行目・4行目)「四千の夜の沈黙と四千の日の逆光線を」「四千の日の愛と四千の夜の憐みを」「四千の夜の想像カと四千の日のつめたい記憶を」(各連の4行目・5行目・5行目)「われわれは射殺した」「われわれは暗殺した」「われわれは毒殺した」(各連最終行)となっていて、それぞれの連で同じような言い回しを用いることによってリズムを作り出している。基本となる言い回しの変奏をつづけているとも言えるが、このようなリズムのつくり出し方は明治時代の新体詩には見られなかったものだ。新体詩が新しい詩を標榜し
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   グループ"第2回批評祭参加作品"
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