■批評祭参加作品■詩の読み方について/岡部淳太郎
 
えない。たとえそのような種類の詩であっても、その詩の本当のツボはもっと別のところにあるのだ。
 詩が詩であるために、散文が散文であるために、詩と散文のそれぞれの特徴、言いかえれば詩と散文の違いというものは、きちんと意識されなければならない。それは書き手にとってもそうであるし、読み手の方にも同じことが言える。詩と散文の違いについて、かつてポール・ヴァレリーは語った。「散文は歩行であり、詩は舞踏である」と。この有名な言葉が言わんとすることは、おぼろげながらもわかるような気はする。散文には常に出発点があり、到達点がある。問いを投げかけて後にそれに対する答が返ってくるように、散文には一本の道筋が必要だ。
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   グループ"第2回批評祭参加作品"
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