■批評祭参加作品■ 「 ロッカーズの星は今夜も瞬いている 」 〜 Muddy stone Axel .../服部 剛
 

いただけると思うが、今僕が生前の彼の姿を想い出すならば、深夜
のオージャス・ラウンジのカウンターで孤独にグラスを傾けている
詩人の姿である。そして、深夜の六本木の暗いクラブの明かりの下
で恋人と手を繋ぎ、はしゃいで踊っていた彼の床に伸びる楽しげな
影は、僕の閉じた瞼の裏で、今も踊り続けている。 

 「REDEMPTION SONGS」という彼の詩集を開くと、2編目に「ほん
とうに ちいさなこどものためのゴスペル」という平仮名(一部片
仮名)で書かれた詩があり、最後の3連を引用すると、彼の姿が浮
かんで来る。 


  かなしいきもちはどこからくるのか 
  いかりやに
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  グループ"第2回批評祭参加作品"
   Point(6)