詩想/黒乃 桜
そうはっきりと言ってのけた。
あまりにも、当たり前のように。
お兄さんは男だよ、と言うようなくらい当たり前に言った相手に数秒ほどぽかんとした後、深い溜息を零した。
「・・んだよ・・意味分かんねぇ」
ここで、喧嘩売ってんのか、と言ってガン飛ばしても良いのだが、なんだかその気力も無くて。
新手の勧誘とかだったら面倒だし、と強くフェンスに当てていた背中を少しだけ離して座り直した。
しかし相手は、何が分かんないの?、と言ったように不思議そうな顔をした。
「ともかく、お兄さんこのままだとろくな死に方しないよ」
相手は、うんうん、とまた一人頷きながらそう言って、今まで目を合
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