詩想/黒乃 桜
 
た。
ぼんやりしていた所為もあるかもしれないけれど、何の気配もなく、本当に突然現れたため驚き目を見開いた。

「な・・っ、な、なっ・・!」

何みてんだよ、と言いたかったのだが上手く言葉が紡げなかった。
とりあえずその近すぎる顔から離れようと後ろに後ずさりするが、背中が当たって冷たいフェンスが軋むだけでそんなに距離は取れなかった。
その間も相手は、じとーー。、と効果音がつくくらいその睫毛を揺らしながらこちらの顔をガン見していた。

「お兄さんさぁ、あれだよ。」

不意に口を開いたかと思うと、うんうん、と自分の言葉に納得したように腕を組んで頷き

「死相が出てるよ」


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