詩想 ?6/黒乃 桜
 
えるつもりはないけれど何故かどこかに引っかかる。
あいつに会ってから何かがいっぱい引っかかってばかりだ、と苦笑を零した。

「こんばんは」

上から声を掛けられて、見上げると流音が立っていた。
なにやらでっかい紙袋を両手で抱えている。
あぁ、と適当に返すとその両手で抱えていた紙袋を膝の上にどさっと置かれた。
なにやら紙のようなモノが大量に入っていて、結構重たい。

「・・?」

何これ、と言う代わりに眉間に皺を寄せると流音はにこっと微笑んで、あげる、と言った。
あまりにも急な事で、紙袋の中を訝しげに覗く。
お世辞にも綺麗とは言えない、少し黄ばんだ紙。一枚取って眺めてみる
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