詩想 ?6/黒乃 桜
みると、それはなにやら楽譜のようだった。
「俺がかいたやつ。昨日の箱のお礼」
いつの間に隣に座っていたのか、流音は小さく微笑みながら呟いた。
そしていつの間に買ってきたのか、缶コーヒーを開けて飲み始めた。その横顔はどこか満足気だった。
しかし由夜は眉間に皺を寄せ、はい?、と零す。
楽譜なんか貰っても、つかわないし、ていうかそれって大事なモノじゃないのか、と。
それが言わなくても伝わったのか、流音は両手で缶コーヒーを持ったままこちらを見て、また微笑む。
「いいの。お兄さん、持ってて」
何が、いいの。、なのか分からない。
由夜はため息を零して紙袋を傍らに置き、流音をジ
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