詩想 ?6/黒乃 桜
 
手いっぱいにくれるのを、待っている。
大人になってもそう。それも一種の、死相。



ああ、そういえば最近誰かを殴ってないな。と不意に思い立つ。
前はやる事もなくふらふらしてたから、そうなってたけど。
今は迷いもなく向かうところがあるから・・そんな寄り道している暇はないってくらい。
それが、以前の俺だったら笑うだろうな、と思いながら由夜はまたあのフェンスの前に座り込んでいた。
買ったばかりのピアニッシモの箱を開けて、一本を取りだし口にくわえる。
お兄さんは与えるっていうか、作ってくれる人だよね。
昨日別れ際に流音に言われた言葉がよみがえる。
どういう意味か、なんて深く考える
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