詩想 ?6/黒乃 桜
 
そういうんじゃなくてただ、何も持ってないような気がした。
周りの人は、両手をいっぱいいっぱい抱え上げてそれでもまだ足りないくらい与えられているのに
自分はこれだけ、両手の平にちょこんと少しだけ乗せられている。
それなのに、そんな少しだけのものも消えてしまいそうで、寧ろ誰かに盗まれてしまいそうで。
泣きじゃくりながら必死に守っている、いつしかそれもばからしく思えて誰かにくれてやったってやっぱり心のどこかではそう、で。
だから、奪い取れって唱え続ける自分が居る。
奪い取ってしまえ、でもやっぱり、それも面倒臭い・・って。
待ってる。小さな子どもみたいに、誰か優しい人が立ち止まって飴を両手い
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