バード (「バード連作集1」)/光冨郁也
 
 一人でいることに、何年も飽きなかった。シートの、海に伝わる神話を読みながら、永く暇をつぶしていた。精霊の女、の横顔の表紙。空腹の中、海に向かう道、カセットで、オペラを聴きながら、わたしは車を走らせた。食事をとる場所を探す。風が、目に当たる。細める/道の脇/女の顔が転がる。ブレーキを踏む/ハンドルを横に切る。
 女の顔は白い。軋むかのような声で、鳴いている。翼を抱えて、鳥の体の女はわたしの目を見て、鳴く。光る目が、心に残る。ドアを開け/風が流れ込み/鳴く。それに近寄る。歯が白いが、鋭く、わたしのほうに転がる。わたしは屈み、抱きかかえる。
 シートで、女の顔を押さえる。鳥の体は羽毛が柔らかい。片
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  グループ"散文詩「バード連作集1・2・3」"
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