遺書(3)/虹村 凌
 
のだから、最後の最後に格好をつけても、そんなに決まらないと思うのだが、どうしてだか、俺は格好付くと思っているようだ。
 そんなところだけ格好ついてもな、と呟いて、俺はホープに火をつけた。短いその煙草、名前をホープと言う。俺は小さな希望をポケットに入れて歩いているんだぜ、と言ってみたいのだが、未だにチャンスに恵まれていない。どれ程ホープを吸い込もうと、特別な事はある訳でもなく、日常に特別な希望も現れたりしない。長い目で見て、薄い希望を垣間見る事はあるが、それも何か違う気がする。「希望」。美しい、甘美なその響きは、色々なものを覆い隠し、麻痺させる効力があると、俺は思っている。希望があるから、大きな
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