「名」馬列伝(11) シグナスヒーロー/角田寿星
 
春の天皇賞。6歳になった彼の、最初で最後のG1レース。
出走にあたって、彼の所属厩舎だった田中清隆師の残した談話が今でも忘れられない。
調子がどうの、勝ち負けがどうの、という話ではなかった。
「ようやくここまで来ることができたよ。」という、感慨にも似た言葉であった。
何ということはない言葉だが、彼への愛が充ち溢れているかのようだった。
ホッカイルソー、シンコウウィンディ、グルメフロンティア、そして彼。
いずれも同時期に活躍した、田中師の育てた馬たちである。
活躍の場は少しづつ違ったが、共通してるのは、とても良血とはいえない血統で、
大切に使われながら、高齢になっても「あっ」といわせ
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