面接(9)/虹村 凌
 

 俺は冷蔵庫の扉部に入っているジンジャーエールに手をかけた。
「お前は妄想と現実を混同して、どうにか納得したいんだろ?」
 ギギ、と言って冷蔵庫のドアが閉ざされ始める。
「何なら教えてやろうか、どこにそのラインが」
ここまで言いかけて、冷蔵庫のドアを思い切り叩きつけるように閉めた。ブーン、とモーター音を発したそれは、いつもの冷蔵庫と変わらない。
 空気の悪さを感じ、俺は窓を開けた。埃っぽい空気が流れ込んで行くのか、流れ出ていくのか、あまり動きを感じさせない夜だった。部屋の中の音が止んでいる。閉じきった部屋の時だけしか出てこない。俺の精神状況を表していると言えば聞こえはいいが、
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