面接(10)/虹村 凌
 
では節度を保つ事、通勤や帰宅時間の事や待ち合わせ場所、時間、目印。その流れで、当たり前のように、一緒に住もうと言う話になった。どちらも一人暮らしで、通勤距離もさして変わらないので、どっちの家と言う話になる。なし崩し的にこうなって行く事を、俺はあまり快く思っていない気がした。気がした、と言うのは、俺自身がよくわかっていないからだ。俺が彼女に何を望んでいるのか、夢見ているのか、それがわからないのだ。それを見破ったのか、彼女は黙ってこっちを見て微笑んでいる。
「ちょっと、急すぎましたかね」
「あ、いえ、そういうんじゃなくて、俺自身よくわかってないんです」
「そうですか…」
「あの、すみま
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