面接(10)/虹村 凌
 
残念、ですか?」
 正直、残念と言えば、多少残念に思える。隠し事と言うのは、非常に良いスパイスだと思っている俺としては、それが無いという事は、多少の愉しみを失ったのと等しい。しかし残念がってもいられない気がするので、ピースを吸い込んで、吐き出しながら答えた。
「そんな事無いですよ」
「そんな残念そうな声で言わないで下さいよ!」
 彼女は笑った。結果オーライ、だろうか?そんなに残念そうな声を出していた自覚は無いが、どうやら本当に、相当残念そうな声を出していたらしい。無意識とは恐ろしいものだ。
 その後、彼女とは少し話しをした。もう隠す必要が無くなった事、それでも当然ながら職場では
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