面接(10)/虹村 凌
うよりはつまみ食いじゃないですかね」
「女の子も、そうなんですか?」
「いえ、それはないです」
「なんでですか?」
「…」
良い返しが思いつかない。しかし黙っておく訳にもいかない。
「一途と言う訳じゃないですけど、浮気は、しません」
正直、言っている最中は自分自身が何を言っているのかわからなかったし、言い終えた後も、何が目的でこう言ったのか、そもそもどう言いたかったのか、ちっともわからなかった。黙って、ピースを吸い込んでは、吐き出した。フォローの言葉も出てこない。
「…」
彼女は黙ったままだった。あー、またしくじったかな、と思う。しかし、下手に動くよりは、
[次のページ]
前 次 グループ"面接"
編 削 Point(1)