面接(11)/虹村 凌
 
ているそいつは、黙ったまま、暗い空間を明るく照らし続けている。俺は電話に出た。
「もしもし」
「あ、出た」
「何だよ」
「出ないと思ったから」
「で、何?」
「え、何?何かあった?機嫌悪いね」
「別になんもねぇよ」
「あっそ。ならいいけど」
「で、何の用だよ。何かなきゃ連絡しねぇくせに」
「帰ってきたよ」
「知ってるよ」
「あ、覚えてたんだ」
「…まぁな」
「これから、ずっとこっちにいるから、時間あったらお茶でもしようよ」
「あぁ」
「まだ聞いてないんだけど」
「何を?」
「ただいま」
「…おかえり」
「うん」

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