面接(11)/虹村 凌
「なぁ」
「なに?」
「なんでもねぇ」
「はぁ?」
「なんでもねぇよ」
「あっそ。んじゃ、またね」
電話はプツリと切れた。
あの女が、帰ってきた。別に付き合っていた訳でも無いけれど、一時期、一緒にいた関係がある。正直、俺は彼女を好いていたけれど、彼女は俺に特別な感情は無いと名言していたので、大した関係には発展しなかった。ただ、帰ってきたら、連絡を取る、と言う話をしていた。だから、俺は自分から連絡しなかったし、彼女も、ここ数年で連絡をよこした事は無かった。
俺は大きく息を吸い込み、大きく吐き出した。
立て続けに、携帯が光った。
「もしもし」
「も
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