面接(12)/虹村 凌
 
た気分だった。心臓が喉から飛び出るかと思った。
「え?」
「ずっとこっち見てるから、何考えてるのかな?と思ってさ」
「綺麗だな、と思ったんだ」
「え?何?いきなり」
「や、働く女の人は綺麗だよ」
「ふーん。ま、いいや。君も、格好いいよ」
「んな事ぁ無ぇよ。俺は…」
と言いかけて、やめた。
「君は、何?」
「いや、なんでもない。眠いからもう寝るぜ?」
「うん。おやすみ」
「おやすみ」
 俺は、喉まででかかった言葉を飲み込んで、布団に潜りこんだ。布団の中で、彼女と結んだ小指を眺める。嘘ついたら、か。嘘じゃなけりゃ、許してくれっかな。そんな事を考えてか
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