面接(12)/虹村 凌
てから、ゆっくりと眠りに落ちていった。
翌日の業務も、何事も無く終わり、俺は彼女と並んで帰ってきていた。一緒にご飯を買って、お風呂に入って、ご飯を食べて、煙草を吸って。幸せに見える、と思う。事実、俺は幸せだ。自分の中の、もやもやとした霧みたいなものを除けば。
いざ寝ようとした時に、彼女の携帯電話が鳴った。実家からのようで、祖母が階段から落ちて病院に運ばれたそうだ。両親は旅行中で、なんだかんだと言われ、結局一番近くにいる彼女が、病院へ行く事になった、と彼女は手短に伝えた。声が震えている。動揺しているのが、手に取るようにわかる。残念そうに謝る声が、少し、雑に聞こえるくらいに。
俺は彼女を見送ると、さっさと布団の中にもぐりこんだ。その時、俺の携帯が鳴った。
「もしもし?」
「あ、出た。」
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