面接(12)/虹村 凌
 

「でも、また残業あるかもね」
「明日はしなーい。明後日休みだし!」
「じゃ、約束するよ」
 暗い影が心臓を覆ったまま、俺は彼女と指きりをした。楽しい会話とは裏腹に、俺の心は重く、ちっともスッキリとしていなかった。彼女が聞いていない保障はどこにもない。なら、この態度は何なのだ?俺に気をつかっているのか?そう思うと余計に苦しくなる。彼女に全てを話して、受け入れてもらえるのなら、全てを話してしまいたい。でも、もし受け入れてもらえなかったら、この生活は一瞬で崩れてしまう。それはいやだ。また一人には戻りたくない。
「何を考えているの?」
 彼女の言葉が、脳味噌と心臓と鼓膜を貫通した気
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