面接(13)/虹村 凌
ときやがれ!」
俺は電話を切った。実家に帰った彼女は、明日の夕方まで戻らない、と言った。ならば、多少の時間はある。一晩くらいなら、別に大丈夫だろう。何も無い。何も、しなければいい。大丈夫だ、何も無い。何もしない。彼女に操を立てるとか、そういうのじゃない。
喉の渇きを覚え、冷蔵庫のドアを開ける。
「バカ野郎。何考えてやが」
水だけ取り出して、バタン、と冷蔵庫の扉を閉める。俺だって自分が何考えてるのかわからない。普通であれば断るべきだ。偶然、彼女がいなくなったからって、女を部屋に上げていい事にはならない。近所のファミレスでもいい筈だ。しかし、あの女は俺の部屋の位置を知っているし、
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