面接(15)/虹村 凌
答える俺を、女は楽しそうに、見つめていた。俺は立て続けに煙草を吸いながら、女が支度を整えて行くのを眺めていた。女が下着を、衣服を、見につけていく様子を、ずっと眺めていた。彼女がこうするのを、眺めた記憶が無いな、と思った。気をつかっているのか、どうなのか、よくわからないけれど、彼女のそういう様子は見た事が無い。この女のそれなら、何度か見たのだけれど。女は昨日と同じ服を着て、こちらを向いた。
「似合う?」
「可愛いよ」
「…きもっ」
失礼な話である。正直な感想を言って、この扱いである。しかし、この様なやりとりも、彼女とは取り交わした事が無い。
「知ってるよ」
俺は短くなった
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